何度でもイノセンス

また書きますよ。この映画、監督も自ら言ってますが「一度見ただけじゃわからない、何度でも見てほしい。それだけの深み、強度のある作品。」てのがひとつの売りですね。
まあ、概してオタクと言うものは同じものを何度も見て、いろいろ語るのが好きだったりします(全く個人的な考えだが)。だから、いわれなくとも、元からのファンなんかは何度でも見に行くと思います。ただね、『一度見ただけじゃわかりっこない!!』なんてのを作ったものが公言するのはいかがなものかと思うわけですよ。大体、普通は映画なんて娯楽は一回みりゃおしまいなわけで、大抵の人はそういった趣旨で見に行くと思うんですよ。それで、楽しかったって気分やすごかったなんて感想を抱ければよいわけです。とにかく、一回の視聴でその作品の大まかな感想を言えるというか、作品を見たと思えることが重要だと思うんですね。
ところが、このイノセンスは製作者が言うだけあって一度ではそのほとんどがつかみきれない。一度見たものの感想として出てくるのは「映像がすごかった」「とにかくすごい」「難しかった」「深い。もう一度みたい」などなど。これらは今、公式HP(http://www.innocence-movie.jp/index1.html)で見られる初日挨拶後の来場者のインタビューを見ても明らかです。これは、実は大きな痛手なのではないでしょうか?今回、ジブリがプロデュースに乗り出したこともあって、日テレ他様々なメディアで広告をしてきた。確かにこのことが新たな客層を生み出すことに一役かっているとは思う。しかし、初見の感想が上記のようなものであれば、このたび軽い気持ちでふらっと見に来た人が再びみに来るとは思えない。ましてや、誰かによさを伝えたりすることなど起こりえないのではないでしょうか?仮にいいと思っても、口から出て言えることが、上記のような意味不明で魅力が伝わりにくいことこの上ない感想なのです。こんなんでは、徐々に客が広がっていくなんてことがおこりゃしないぞ!!!
「何度でも見れる深みのある作品」と「何度も見ないとわからない作品」は大きく違うと思う。僕はこの作品がすばらしいと思うし、何度も見る。それで怒りを覚えることもないし、いつまでも楽しめると思う。しかし、大衆に向けて今回のように売り出していく上で、この作品が成功しているかは、大きく疑問符を抱かざるをえない・・・。

なーんて、ちょっと硬い文章になってまいました。でも、本当これだけ広告してる割にはたいした結果が出てない気がする。